持続可能な社会=歩いて行きかえるところから
=地域循環共生圏=山・里・川・海 互いに満たしあうネットワークの広がりへ
片山弘子 GEN-Japan代表理事
私たち人類の生きる基盤について、その存続が瀬戸際まで追い込まれているということに、多くの人が気付き始めてきましたが、同時に、コロナウイルスの感染拡大が一気に広まったこの数か月の間に、国境を越えた協力関係が人類として自分たちの生きる道であることに気づき始めた人も多いのではないでしょうか。そしてそれをどのようにして実現していくのか、私たちの世代に問いかけられています。
これからどんな社会を目指して生きるのか、そこに向けてどこから手を付けていけばいいのか、私たち市民に何ができるのでしょうか。コロナウイルスは、人が幸せになるための経済や社会を、地域に暮らすお互いの手によって、足元に取り戻していく方向性を示してくれたともいえます。
私たちは持続可能な社会像を、まずしっかり知っていくことが大事ではないでしょうか。
そのベースは、まず市民の参加型のマネージメントであるということです。真の持続可能性は強制力では実現できません。大都会であっても農村部であっても、人々が歩いたり自転車で行きかえる、互いに顔の見える範囲を一つのユニットとして、そこにいきるお互いが、それぞれを尊重し、できることを持ち寄って織りなす地域づくりのプロセスがベースではないでしょうか。そのユニットが網の目のようにネットワークして補完し合う、そんな社会像はどうでしょう。
住民参加型のデザインの上に、持続可能性の必要条件として、世界観、社会システム、経済、環境という4領域と各5項目(下図参照4Dマンダラ図)が総合的に、地域やメンバーの持ち味に応じて多彩に展開されていく、常にそのプロセスにある社会ともいえるでしょう。
市民からの動きだけでなく、2015年から2030年を目標とした国連の「持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定など世界的な潮流の中で、国策として自立分散型の社会づくりを掲げる国も見られるようになってきました。日本でも2018年に閣議決定された環境省第5次環境基本計画の地域循環共生圏の構想があります。それは農山漁村も都市も生かし合う、地域の活力の最大発揮を狙ったものです。
そうした地域の活力を住民参加で生み出せるには、地球にいかに生きるかという自覚に立った長期的視野とコミュニケーション力を備える学びが必要でしょう。
GEN-Japanガイアエデュケーションでは、最重要課題は「何でも話し合えるベースづくり=持続可能な人間関係づくり」を6ヶ月間にわたって知り、体得します。
日本を代表する実践現場3会場で、コミュニティづくりの経験や、トランジション活動、パーマカルチャー、自然農、NVCなどを経験。さらに行動の裏付けを形成する価値観・世界観を、現代日本を代表する講師陣の人間味あふれる姿から直接学びとる機会も用意しています。
それぞれの地域に個性豊かなコミュニティを実現できる、人材育成プログラムです。
ガイアエデュケーションは、エコビレッジデザインエデュケーション(EDE)として1998年からスタートし、現在まで5大陸で、先進国、途上国をふくめて45カ国約100会場で開催され、世界各地で多くの人材を輩出しながら、持続可能な社会づくりの推進と、それに必要なカリキュラムを作り上げてきました。
NPO法人GEN-Japanグローバル・エコビレッジ・ネットワーク-Japanは、世界各地での実践から練られた国際統一ガイドラインに忠実に沿いつつ、新しい社会を志す人のために、現在の日本に適したカリキュラムを用意し、2017年度からユネスコのグローバルアクション正式認証プログラムとしてスタートしてきました。今年で4期目を迎え、21人の参加者とともに、一人一人を尊重するコミュニティとはどのようなものか、探究しながら社会像を描き始めています。